「仕事ってこういうもんじゃん」は古いのか?部下から上司の対応を相談された主任の葛藤
部下から、上司の対応について相談を受けました。
書類の提出が予定よりかなり遅くなり、上司を勤務時間後まで待たせてしまった。そのときに、ややぶっきらぼうに「なんでこんなに遅くなってしまったんでしょうね」と言われたらしい。
部下には体調面の事情もあり、書類作成が遅れていた。上司もその事情を知っていたはずで、「それなのに、あの言い方をされた」と傷ついていました。
それを聞いた私の第一印象。
いや、勤務時間後まで待たされたら、小言の一つくらい言いたくなるよな。
はい。出ました。
「仕事ってこういうもんじゃん」と思ってしまう主任。
これは事件である。

結論:「言われても仕方ない」と「その言い方でいい」は別問題
今回の件で、私が一番引っかかったのはここです。
「言われても仕方ない」と「その言い方でいい」は別問題。
提出が遅れた部下には、改善すべき点があります。体調面の事情があったとしても、遅れそうなら早めに相談する。相手を待たせるなら、状況を先に伝える。これは仕事として大事です。
一方で、上司も管理職である以上、同じ内容を伝えるにしても、相手に何を残すかを考える必要があります。
何でもハラスメント扱いするのも違う。
「昔は普通だった」で片付けるのも違う。
管理職は、白黒をつける人ではなく、グレーを調整する人なのかもしれません。
部下から受けた相談:事情を知っていたはずなのに
相談の内容は、かなり現場で起こりそうな話でした。
部下は書類提出が予定よりかなり遅れてしまい、上司を勤務時間後まで待たせてしまった。体調面の事情もあり、予定通りに書類作成が進まなかった。
上司もその事情は知っていたはず。
だからこそ、「なんでこんなに遅くなってしまったんでしょうね」という言葉が刺さったのだと思います。
言われた内容だけを見ると、ものすごく強い言葉ではありません。
でも、言い方、表情、タイミング、相手の疲れ具合が重なると、言葉は少し違う形で届きます。
コミュニケーションって、文章だけなら軽いのに、現場で聞くと重くなることがあります。サウナでいうと、温度計は90℃なのに体感は100℃。あれです。
私の第一印象:「小言も言いたくなるよな」
正直に書きます。
私は最初、部下の話を聞きながらこう思いました。
「でも、勤務時間後まで待たされたら上司もしんどいよな」
定時後に待つ側の負担もあります。自分の仕事もある。家庭の予定もある。疲れている。お腹も空いている。帰りたい。
そこに書類が遅れてくる。
そりゃ、ちょっと言いたくなる。
私自身も、忙しかったりイライラしていたりすると、言い方がきつくなることがあります。
だから「上司の言い方は絶対に悪い」と、きれいに断罪することには違和感がありました。
自分の棚を整理してから人の棚を見ろ、という話です。
私の棚、まあまあ散らかっています。反省。
でも管理職として考えると、やっぱり引っかかる
ただ、ここで「仕事ってこういうもんじゃん」で終わらせるのも違う。
昔はこれくらい普通だった。
これくらいで傷ついていたらやっていけない。
言われる前にちゃんと出せばよかっただけ。
その考え方も、まったく分からないわけではありません。
でも、それだけで終わると、管理職としては少し雑です。
厳しいことを言うか、言わないかが問題ではない。
相手に何を残すか。
ここが大事なのだと思います。
同じ内容でも、たとえばこう言えます。
「今日は遅くまで大変だったね。体調もあったと思うけど、次から遅れそうなときは早めに相談してもらえると助かるよ」
伝えたいことはほぼ同じです。
でも、相手に残るものは違う。
片方は萎縮。もう片方は改善の余地。
この差は、管理職として無視できないと思いました。
私自身も人のことを言えない
ここが今回、一番めんどくさいところです。
私は、上司本人にフィードバックするか迷いました。
理由は、自分にも同じ弱点があるからです。
忙しいとき。
余裕がないとき。
予定が崩れたとき。
こちらも人間なので、つい言い方が硬くなることがあります。
「その言い方は良くないですよ」と他人に言いながら、翌日自分が同じような言い方をしていたら、もう地獄です。
管理職、ブーメランが多すぎる。
だからこそ、相手を裁く感じでは言いたくない。
でも、何も言わずに放置していいのかというと、それも違う。
この中途半端なところで考え続けるのが、主任の仕事なのかもしれません。
部下にはどう伝えたか:守ることと甘やかすことは違う
部下には、まず気持ちは受け止めました。
体調面の事情がある中で書類を出したこと。遅い時間まで気を張っていたこと。言い方に傷ついたこと。
そこは否定しない。
ただし、それだけでは終わらせませんでした。
部下を守ることと、部下を甘やかすことは違います。
今回のような場面になったら、次からは早めに相談する。
提出が遅れそうなら、分かった時点で伝える。
直接やり取りしなくてもよい仕事なら、状況によっては別の人を経由する。
体調面の事情があるなら、「どこまでならできるか」「いつなら出せるか」を具体的に共有する。
これは処世術というより、自分を守るための仕事の進め方です。
しんどいときほど、早めに旗を立てる。
「助けてください」と言う前に、「遅れそうです」と言う。
これだけで、かなり事故は減ります。
上司にはフィードバックするべきか:単発か反復かを見る
では、上司本人にはすぐ伝えるべきだったのか。
ここも簡単ではありません。
単発の出来事で、すぐに「あなたの対応が悪い」と問題化すると、今度は上司側が守りに入ります。
こちらは改善提案のつもりでも、相手には攻撃に聞こえる。
これは部下へのフィードバックでも同じです。
だから私は、まず反復性を見ると思います。
- 同じような相談が繰り返される
- 特定の人が萎縮している
- 相談や仕事の依頼を避けるようになる
- 別ルートを使うことが常態化している
- その人の機嫌を読んで仕事が進むようになる
ここまで来たら、個人間の相性ではなく組織課題です。
その場合も、「あなたの対応が悪い」とは言わないと思います。
たとえば、こうです。
「自分も忙しいときは言い方がきつくなるので、人のことばかり言えないんですけど、本人にはこう伝わっていたようです。管理する側としてお互い気をつけたいですね」
少し回りくどいかもしれません。
でも、相手を責めるより、同じ管理側として一緒に気をつける形にしたい。
「回避する組織」にはしたくない
今回もう一つ考えたのは、回避行動の怖さです。
「あの人には直接頼まない」
「機嫌が悪そうな日は避ける」
「○○さんを通してお願いする」
これが一時的な工夫なら、現場の知恵かもしれません。
でも、常態化すると組織は少しずつ歪みます。
仕事が人ではなく、機嫌で流れるようになる。
相談ルートが複雑になる。
直接確認すれば済むことに、余計な中継が増える。
これは地味に疲れます。
誰かの不機嫌を避けるために、組織全体が遠回りする。
そんな職場にはしたくない。
上司を理解することと、言動を放置することも違う。
ここも、今回の大きな学びでした。
管理職は、裁く人ではなく調整する人なのかもしれない
今回の相談で、私は改めて思いました。
管理職になると、同時に考えることが増えます。
| 見たいもの | 考えること |
|---|---|
| 部下の気持ち | 傷ついたことを軽く扱わない |
| 上司側の事情 | 待たされた負担や疲れも理解する |
| 本人の責任 | 遅れそうな時点で相談する行動を促す |
| 組織の構造 | 特定の人を避ける動きが常態化していないか見る |
どれか一つだけ見れば、話は簡単です。
部下だけを守る。
上司だけを責める。
本人の責任だけにする。
でも現場は、そんなにきれいに割れません。
白黒をつけるより、グレーを調整する。
自分も完璧ではないからこそ、裁かずに調整する。
これが主任としての現実的な姿勢なのだと思います。
今回、参考にした考え方
今回の記事では、相手を評価する前にまず理解すること、人格ではなく観測できる事実と影響を返すこと、心理的安全性を目的ではなく相談や学習を可能にする土台として考えることを参考にしました。
ただし、書籍や資料の紹介が主目的ではありません。あくまで、現場で起きた相談を主任としてどう受け止めるかを整理するために使っています。
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まとめ:誰かを完全な悪者にしなくていい
部下から上司の対応について相談されたとき、管理職はけっこう揺れます。
部下の気持ちは守りたい。
でも、上司側の事情も分かる。
そして、本人にも改善してほしい。
この3つを同時に考えるのは、なかなか面倒です。
でも、そこに管理職の仕事の面白さもあるのかもしれません。
「言われても仕方ない」と「その言い方でいい」は別問題。
部下を守ることと、甘やかすことは違う。
上司を理解することと、言動を放置することも違う。
管理職は、誰かを完全な悪者にしなくていい。
ただ、組織が変な方向へ歪まないように、少しずつ調整する。
たぶん明日、自分がイライラして部下に少しきつく言ってしまう可能性もあります。
そのときは、今日書いたこの記事を自分で読み返したい。
主任、今日も未完成。
でも、未完成だからこそ、まだ整えられる。

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